経理処理 — 預り金と仕訳

社員天引きの社会保険料は、事業者が一時的に預かって翌月末に納付するため、預り金 として処理します。

仕訳の流れ

  1. 給与支給時 — 社員天引き分を「預り金」に計上(まだ社会保険料を払っていない一時預かり状態)

  2. 翌月末の納付時 — 「預り金」を取り崩して支払い、不足分(事業主負担)は「法定福利費」として費用計上

例 1: 2026 年 4 月納付分(= 2026 年 3 月分・支援金前)

標準報酬月額 88,000・給与額面 83,000・介護該当の場合。

① 給与支給時

(借) 給料         83,000   (貸) 普通預金     69,901  ← 差引支給額
                              預り金        13,099  ← 社員天引き合計

預り金 13,099 の内訳:

内訳

金額

健保(社員)

5,047

厚年(社員)

8,052

支援金(社員)

0(2026/4 納付分は支援金開始前)

合計(社員天引き合計)

13,099

② 社会保険料納付時(翌月末)

(借) 預り金       13,099   (貸) 普通預金     26,513  ← 納付額合計
    法定福利費   13,414                              ← 事業主負担総額

法定福利費 13,414 の内訳:

内訳

金額

健保(事業主)

5,046(残額方式: \(\lfloor 10{,}093.6 \rfloor - 5{,}047\))

厚年(事業主)

8,052

子育て拠出金(全額事業主)

316

支援金(事業主)

0

合計(事業主負担総額)

13,414

例 2: 2026 年 5 月納付分(= 2026 年 4 月分・支援金開始)

① 給与支給時

(借) 給料         83,000   (貸) 普通預金     69,800
                              預り金        13,200  ← +101 円(支援金 社員)

預り金内訳:

内訳

金額

健保(社員)

5,047

厚年(社員)

8,052

支援金(社員)

101 ← 新規

合計

13,200

② 納付時

(借) 預り金       13,200   (貸) 普通預金     26,716  ← +203 円
    法定福利費   13,516

法定福利費は 13,414 → 13,516(+102) に増えます。支援金の事業主折半 101 円に加え、協会けんぽ告知(健保+介護+支援金)を 合算してから切り捨てる ことで生じる +1 円が事業主側(残額)に乗るためです。協会けんぽの事業主負担は 5,046 → 5,148(健保+支援金、残額方式)になります。

注釈

種別ごとに切り捨てると協会けんぽ事業主は 5,046 + 101 = 5,147 となり、納付額が公式の通知額(26,716)より 1 円少なくなります。詳細は 計算ロジック を参照。

預り金科目の補助科目運用

実務上、預り金は次のような補助科目で管理することが多いです。

補助科目

中身

社会保険料預り金

健保(社員) + 厚年(社員) + 支援金(社員)

源泉所得税預り金

月次の所得税控除分(本ドキュメント対象外)

住民税預り金

特別徴収分(本ドキュメント対象外)

本ドキュメントは社会保険料分のみを扱います。所得税・住民税は別途、給与計算ソフトや源泉徴収簿で管理してください。

子ども・子育て拠出金は労使折半ではない

警告

拠出金(現行 0.36%)は 事業主のみが負担 します。社員天引きは発生しないため、預り金には計上されません。納付時に直接「法定福利費」として費用計上します。

一方、令和 8 年 4 月分から始まる 子ども・子育て支援金は労使折半 で、社員側 101 円が預り金に含まれます。両者を混同しないよう注意してください。

支払時期の整理

イベント

タイミング

給与支給(預り金計上)

当月内(会社の給与日に依存)

社会保険料納付

当月分は翌月末(例: 2026 年 4 月分 → 2026 年 5 月末納付)

納入告知書到着

月末頃に協会けんぽ・年金事務所から

本ドキュメントの「年/月」ラベルは 納付月 基準なので、2026/5 = 2026 年 5 月末に納付する分(=4 月分)を意味します。詳しくは 納付月セマンティクス を参照。